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山手線の「座席選択」に隠された本音。アンケートには絶対書かれない「顧客インサイト」の捉え方

  • 6月11日
  • 読了時間: 3分
山手線の「座席選択」に隠された本音。アンケートには絶対書かれない「顧客インサイト」の捉え方

先日、従業員200人強の会社の社長とお話しさせていただく機会がありました。 社長は今後の展開を見据え、「下請けから脱却して自社ブランドを作りたいが、何から手をつけていいか……。とりあえずテスト製品は作ったものの、その先をどう進めればいいか分からない」と深く悩まれていました。

 

素晴らしい技術力で作られたテスト製品。しかし、本来その前に必ずやっておくべきステップがあります。それが「消費者インサイト(顧客の無意識の本音)」を調べることです。

 

「インサイトなんて言葉は聞いたことはあるが、いまいちピンとこない」という方のために、私が体感してもらいやすいとお勧めしているのが「電車の人間観察」です。

 

私は特に山手線に乗ると、スマホを見るよりも乗客の「動き」をじっと見てしまいます。関西弁、英語、多言語が飛び交う車内は、実は生々しい顧客心理の宝庫。

 

例えば、ガラガラの車内で人がどう座っていくか。 一人で乗ってくる客は、迷わずシートの「端(壁際)」に座ります。また、失礼ながらあまり衛生的ではない身なりの方も、ほぼ100%シートの端を選ばれます(※私はこれを発見して以来、絶対に端には座らないと決めています)。しかし、グループの旅行客などは気にせず「真ん中」にどっかと座るのです。

 

ここで、少し思考の実験をしてみましょう。

【よくある経営者の疑問:Q&A】


Q. 「端に座った一人客にアンケートを取れば、その理由は分かりますよね?」


A. いいえ、アンケートでは本当の理由は分かりません。

Q. 「端に座った一人客にアンケートを取れば、その理由は分かりますよね?」

 もし彼らに「なぜ端に座ったのですか?」と聞いたら、おそらく「なんとなく」「いつもそうしているから」「落ち着くから」といった、表面的な答えしか返ってこないでしょう。

実は彼ら自身も言語化していませんが、行動を動かしているのは「自分のパーソナルスペースを汚されたくない(防衛本能)」や「他人に挟まれるストレスを避けたい」という、強烈な無意識の欲求です。片側だけでも「壁」に守られていたい。集団(身内)になればその防衛本能は薄れますが、一人の時は誰もが「自分を守ってくれる壁」を本能的に探しているのです。これこそが、マーケティングで重要な「消費者インサイト」の正体です。




Q. 「製品開発のために、顧客に『どんな商品が欲しいですか?』と直接聞くのはダメなのですか?」


A. ダメではありませんが、それだけでは下請け脱却のヒット商品は生まれません。

Q. 「製品開発のために、顧客に『どんな商品が欲しいですか?』と直接聞くのはダメなのですか?」

電車の乗客が自分の防衛本能を言葉にできないのと同じで、顧客自身も「自分が何に困っていて、何を欲しているか(無意識の不快感の正体)」に気づいていないからです。顧客の「言葉(ニーズ)」の通りに動いているだけでは、他社と同じスペック競争・価格競争の波にのまれてしまいます。

下請け企業の技術力がどれだけ高くても、顧客の「言葉通りの要求(仕様書)」に応えているだけでは、「代わりはいくらでもいる」と言われてしまいます。

「顧客が夜も眠れないほど不安に思っていることは何か(=満員電車の真ん中に丸腰で座らされているようなストレスは何か)」という、行動の裏にある防衛本能を社長の鋭い観察眼で見抜く。そして、「その不安、うちのこの技術(チーム)が壁になって守りますよ」と先回りして提案する。そこから初めて、「あなたにお願いしたい」と言われる独自のブランド(チームブランディング)が成立するのです。

言葉ではなく、行動を見る。 自社の顧客が、日常のどんな瞬間に「守られたい(安心したい)」と感じているか。その泥臭い観察とインサイトの発見からしか、本当のヒット商品や選ばれるブランドは生まれないのだと思います。

 


「うちのテスト製品、顧客の『言葉』だけで作っちゃったかも……」とドキッとした経営者の方は、まずは身近な人間の「行動の裏にある理由」を疑うことから始めてみませんか?

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©︎ MIRAI+

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